読書会で話題に上がったサイボーグ工学やAIの話から。
2019年11月8日(金)
こんにちは、和歌山県橋本市を拠点に活動しております蓬庵(よもぎあん)のワダです。ブログをご覧いただきありがとうございます。
読書会とダンマパダ
読書会
読書が好きな仲間と定期的に食事をしながら本をプレゼンする読書会というのをしています。先日の11月3日に和歌山県岩出市の飲食店で開催しました。
今回はお鍋のお店でした♪
メンバーのひとりが、世界的ベストセラーにった「サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリ氏の新著である「ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来」について熱弁してくれました。
「ホモ・デウス」→「神聖な人、神の人、人間至上主義の完遂→人間の生命こそが至極」のキーとなる学問は、生物工学、サイボーグ工学、AIだという話になりました。
その中で『攻殻機動隊』という人間が電脳化といってサイボーグになる時代を描いたSF作品(漫画、アニメ、映画)が話題になったのです。
この作品は多くのシリーズがでていますが、AIは魂(ゴースト)を持つのか、また宿るのか、そして情報の海から生まれたある種の生命体だと主張するAIの存在、また電脳化した自身の記憶はデータにより塗り替えられたものではなかという魂(ゴースト)についての葛藤なども描かれています。
押井守監督『イノセンス』
2017年には実写映画化されたりと作品は多岐にわたるのですが、その中でも劇場アニメとして公開された押井守監督の『イノセンス』が気になり、よなよな見ていたんです。
数年前に見たときはよくわからないセリフだと思っていた部分があります。
素子「孤独に歩め、悪をなさず、求める所は少なく」
バトー「林の中の象のように」
「林の中の象のように」って何?
そう思っていたのですが、今回ふと思ったのが「象のように」ってブッダの経典にあったことを思いだしました。
経典はいくつもの詩でかかれていて、「〇〇のように」でよく締めくくられるんです。
『法句経(ダンマパダ)』23章(象)330節
調べてみるとありました。『法句経(ダンマパダ)』23章(象)の330節です。
関連する前の詩も載せておきます。これはブッダが修行者にむけて話したものです。調べてみるとセリフについて解説しているページはたくさんありました。
『法句経(ダンマパダ)』23章(象)
328 もしも思慮深く聡明でまじめな生活をしている人を伴侶として共に歩むことができるならば、あらゆる危険困難に打ち克って、こころ喜び、念(おも)いをおちつけて、ともに歩め。
329 しかし、もしも思慮深く聡明でまじめな生活をしている人を伴侶として共に歩むことができないならば、国を捨てた国王のように、また林の中の象のように、ひとり歩め。
330 愚かな者を道伴れとするな。独りで行くほうがよい。孤独(ひとり)で歩め。悪いことをするな。求めるところは少なくあれ。林の中の象のように。
中村元『ブッダの真理のことば 感興のことば(岩波文庫)』を参考
読むところ、聡明でまじめな良い伴侶ならよいが、良い伴侶が見つからないからと愚かな伴侶と共に歩むな、それなら林の中で群れず聡明な象のように一人でいるという選択肢もあるのだと。
これは修行者にむけてのメッセージではありますが、独身者が読むには戒めのような、励ましのような複雑な気持ちになります(笑)
中村元先生の書籍
『ブッダのことば-スッタニパータ 』は以前にもブログで紹介したことがあるのですが、インド哲学の第一人者である中村元先生の『ブッダの真理のことば・感興のことば 』がおすすめです。上記の一節ものっています。
『ブッダのことば-スッタニパータ 』のほうが最古の経典と言われていて有名ですが、『ブッダの真理のことば・感興のことば 』の方が読みやすい内容になっています。
原始仏教は今の仏教とは少し違います。経典には倫理や道徳など、生きるヒントが多くのっています。
YouTubeで検索してもらうと、中村元先生の講義があったりするのでぜひ聞いてみてください。
一度、中村元先生の講義を生で受けてみたかったですが、1999年に亡くなられているので叶わないですね。