日本整形外科学会は慢性腰痛に対する鍼灸マッサージを推奨しない?
2019年5月11日(土)
こんにちは、和歌山県橋本市を拠点に活動しています、蓬庵(よもぎあん)のワダです。ブログをご覧いただきありがとうございます。
腰痛診療ガイドラインと鍼灸マッサージ
Twitterで話題になった投稿
Twitterで @mic_rophone_HG さんが2019年5月9日に投稿された「柔整、鍼灸師の方たちへ 」ではじまる投稿が話題になり、コメントや拡散をされている先生がたくさんいました。
本日の日本整形外科学会で、腰痛診療ガイドライン2019つまり最新のガイドラインの講演を聴いてきました それによると、慢性腰痛に対するマッサージ、鍼灸治療は「推奨しない」と位置づけられたようです。
https://twitter.com/mic_rophone_HG/status/1126409103281049605 17:50-2019年5月9日 1,338件のリツイート 1,827 いいね より引用
腰痛診療ガイドラインとは医師が診療をするときの指標となるもので、基本的にはこれに準じて診療をすることがスタンダードとされています。
この最新のガイドラインの中で慢性腰痛に関して、マッサージや鍼灸治療は推奨しないという位置づけになったというのです。
また腰痛診療ガイドラインの書籍がでますので、事の詳細を確認したいと思います。
腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版) 日本整形外科学会 https://www.amazon.co.jp/dp/4524225749/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_UQR1CbT80NXTX @amazonJP
考えられる影響
実際にガイドラインを確認していないので詳しいことはわかりませんが、整形外科学会や医師の見解というのは日本ではつよい権限をもちます。
現在、整骨院の保険では慢性といって長い期間にわたっての腰痛には保険が摘要されていません。そのため慢性の腰痛で保険での施術を希望しても自費になるなど、保険での施術は断られていると思います。
もし慢性の腰痛で保険での施術を受けれているとしたら。。。今回はそのことを書くのが目的ではないので触れないでいおきます。
鍼灸の場合は一部の症状(神経痛、リウマチ、五十肩、頸腕症候群、腰痛症、頚椎捻挫後遺症)に限り医師の同意書があれば保険での施術を受けることが可能な場合があります。
※恐れ入りますが蓬庵では自費のみの施術で保険での施術はしていません。希望される方は他の鍼灸院をご紹介させて頂きます。
この医師の同意書というのが問題になる可能性があります。
以前から整形外科では同意書を断られることが多いとされていましたが、「推奨しない」となると医師はそれを遵守しますから、慢性腰痛では同意書を断られてしまうというケースが多くなってくる可能性も示唆されます。
蓬庵での影響
蓬庵では保険での施術はしていません。保険のみでの施術では制限されることもあるので、しっかりよくなることを目的に施術をするために自費での施術のみでさせて頂いています。
ですので、何かしら国の政策などで変更があっても影響は少ないと思っています。そういったことで振り回されず施術に集中したいという理由もあって保険での施術をしていないというのもあります。
慢性腰痛と鍼灸マッサージ
どうして「推奨しないのか?」という理由が気になりますが、鍼灸師としては慢性腰痛にも鍼灸やマッサージの施術は有効なケースが多いと感じています。
もちろん骨の異常などにより大きな改善がみられないケースもあります。
しかし筋肉のレベルでの問題や、東洋医学的な側面からみた経絡・経筋、五臓六腑、気・血・水などの不調和が原因となっている場合には改善できることも多くあります。
これは長年にわたって腰痛で困っており、施術により大きく改善した方が一番に感じていることだと思います。
病院では手術の適用レベルでなければ、痛み止めや湿布、リハビリの通院が主な処置となりますが、それでは治らないからと困ったすえに鍼灸院にこられることが多いのが実際です。
鍼灸やマッサージが推奨されないとなると、もう慢性腰痛の方は行き場がなく「もう我慢をしてなさい!」ということになってしまいます。
痛み止めや湿布でなおるものならよいのですが、体の深い筋肉が硬くなってしまって体のバランスが崩れている場合などは、それだけではなかなかよくなりません。
痛み止めも痛みをまぎらわしているだけなので、慢性的なものでは根本的な解決にはなってません。
近年の慢性腰痛と施術所の問題
近年は、慢性腰痛専門○○、手術の適用も切らずになおす○○、など整形外科学会に目をつけられても仕方がないような宣伝も目立ちます。
鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師といった開業がみとめられた国家資格をもった施術所だけでなく、国家資格をもたなくても開業できる民間の団体が資格を発行していたりする整体院やカイロというのも乱立しています。
こういったことも理由にあるのかもしれません。医師の中には、整体、鍼灸、マッサージ、整骨院などの違いを詳しく知らない方が多いのが現状のようですしね。
今後の慢性腰痛と鍼灸マッサージ
診療ガイドラインは変更されていくものですので、鍼灸マッサージの業界も慢性腰痛にいかに鍼灸やマッサージが有効なのかということを堂々としめせるように学術的な研究データをだしていく必要があるかと思います。
今日も愛知県では全日本鍼灸学会という業界で一番大きな学術団体の学会がおこなわれています。今回の件についても何かしらの動きをしていくのではないかと期待したいところです。
蓬庵と慢性腰痛
今後も蓬庵では慢性腰痛の方も施術をしていきたいと思っていますし、多くのケースで痛みの改善がみられていますので、また腰痛で困っているようであれば一度相談をしてもらえたらと思います。